襖の基準ランク「鳥の子」って?
こんにちは
府中張替え職人 川上です。
本日は襖紙「鳥の子」についてお話ししようと思います。
特にお客さまから質問がある訳ではないのですが、
ランクを示すものとして使用していますので、
どういった意味があるか ご説明します。
つまり 卵色
襖に使われる和紙は「唐紙」とも呼ばれ、
中国伝来の技法で造られていたとされています。
その紙の色合いであるベージュやクリーム色を
当時の人々は卵の色に見立て
「鳥の子 色」
とウィットをきかせて呼んだのです。
その時から続く呼び名として、
「鳥の子」は襖紙の標準ランクを称する言葉となりました。
もちろん 襖紙製造の技術は進歩し、
中国より伝来された以上の伝統文化
「和紙」として現代に至ります。
技術の進歩により現代では
抄紙機という機械で製紙するようになっています。
(↑写真は手漉き機)
ところが、
効率を上げる為に生まれた抄紙機なのですが、
戦後は まだまだ質が悪く、
手漉き紙に かないませんでした。
そこで名付けられた言い方が
「新鳥の子」
“新”をつける事でキャッチコピーとしては
イメージが上等なのですが、
「新鳥の子」は機械漉きで、質は「鳥の子」より下という
ランクが現在でも踏襲されています。
現在では機械漉きの技術が向上し
手漉きに迫る質となってきた為、
ほとんどの襖紙が機械漉きです。
「鳥の子」も あえて手漉きの風合いを残す具合の
機械漉きとなっていて、
手直し程度に人の手が加わえられる程度です。
ランクとしては
「新鳥の子」
「上新鳥の子」
「鳥の子」
「本鳥の子」
と 順に質・耐久性・色味・価格が上がっていきます。
「本鳥の子」に至っては、
完全 手漉きによる為、お値段も相当です。
(質も最高です。)
一方、
襖紙には糸入りで強度を高めたモノもあります。
織物と呼ばれ、
「普及・中級・上級」
と当店ではランク付けしています。
これらの違いは、
紙質もさることながら、
糸の本数(細かさ)に由来します。